【詩エッセイ♪】 夢のたびびと91『涙はどこからやってくる?』・泣けない辛さも、ある
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こんにちは、ゆきうさぎです。
はじめましてのみなさま、ご訪問ありがとうございます☆
前からご覧になられているみなさま。引き続き「夢たび」お楽しみ下さい♪
子供の頃から夢を見ずにはいられないまま、大人になりました。そんなゆきうさぎが10年近く前に書いていた詩「夢のたびびと」に、このたび新たに「夢たび景色」を書き加えたものが、この詩エッセイです。
【夢たび91】『涙はどこからやってくる?』
悲しいとき 本当に 泣いたかい?
甘えるわけでもなく
息することすら 苦しいときは
目を閉じて 深呼吸して
君の鼓動は 正直だ
見えるモノだけが すべてじゃない
言葉になるモノだけが 全部じゃない
【夢たび景色】泣けない辛さも、ある
じつは、ゆきうさぎは高校卒業くらいまででしょうか、泣くことがえらく苦手でした。
泣くことは、負けることだと、なんとなく信じていた。
高校くらいの年頃の女子って、箸が転がっても笑う年頃といいましょうか。
わりと泣いたり笑ったりが激しくて、コロコロと表情を変え、話題も興味も移り変わる同級生たちに、いささか辟易していた感もあります。
当時ゆきうさぎは6年ぶりに日本に帰国したばかりで、感覚がすっかり浦島花子になっていたというのもあり。
外見は日本人だけれど、内面がすっかりヨーロッパナイズされて、異人になってしまっていたんですね。
同級生たちは、ゆきうさぎからすると、すぐに感情を高ぶらせて怒ったり泣いたりするわりに、しばらくするとそんな自分がいたことなど忘れてしまったかのように、また新しいモノへ飛びついていく――
しかし涙って、そんなに軽いものなんだろうか。
もっと重大で、これはどうにも耐えられない、くらいの負荷がかかった時くらいにしか、涙なんて見せるものじゃないんじゃないか。
第一、こっそり影で泣くならまだしも、人前で声を上げて泣くなんて、子供みたいに他人から同情を買いたいようにしか見えない。
それに弱い自分をさらけだしているようで、みっともない。恥ずかしい。
今にして思うと、ゆきうさぎのこういう考え方、感じ方は、異人感覚というよりむしろ古風な男性より発想だったんじゃないか?という気もします。
昔からの日本男子は、いわゆるONE PIECEのゾロみたいな気質というか。
そんなに多くを語らない、喜怒哀楽を表さない。無表情。
そんなかんじで、ゆきうさぎも若い頃は無性に自分に降りかかってくる現実に「負けたくなかった」んですよ。
とにかく「もっと強く、賢く、大きくなりたかった」。
なので卒業式で、先輩と別れるのが悲しくて号泣している同級生なんかが隣にいたりすると、わたくし、完全に恐れおののき、引いてしまってました。
自分も悲しいは悲しい。
でも、それって、公衆の面前で声を震わせて泣くほどのこと?
どこからこんな激情がわき上がってくるの、なんか怖いよー。
まあ終始こんな感じでいたので、先生側から見たらさぞ「斜に構えた、食えない、可愛くない子供」だったんじゃなかろうか。苦笑
「ゆきうさぎって、いつも冷静だよね」
とは、よく言われてましたけれど。
あれは褒め言葉半分、ノリが悪いよねという嫌味半分だった気がします。
とにもかくにも、女子高生のきゃぴきゃぴしたノリには乗れていなかった。
だから早くここを通過して、次に行きたかった反面、これで本当にいいのだろうかとも思っていた。
当時はよく「高校生活が人生最高の青春時代!」とかいう大人たちが周りにいたのですよ。
うーん、しかしこれが、私の人生最高の青春なんだろうか?
周囲とはうまく合わせているだけ、将来の夢も見つからない、フワフワもやもやしている、霞みたいな今この時が、本当に貴重でキラキラな時間?
いや、どう考えてもちがう。
そうか、私は、世間で言われているような成功バージョンの「青春」とやらは体験し得なかったんだなぁ。
そんな消化不良な気持ちを抱えながら、自分の卒業式をも迎えたものですから、周囲の友達が涙に明け暮れる中、クラスで一人だけ、がんとして涙を見せなかった。そしたら、
「ゆきうさぎは、ホントに冷静だよねー」
ああ。またお約束のように言われてしまった。
いや、そうじゃなくてさ。
なにかこの高校という場所に、泣けるほど立ち去りがたく惜しむモノを構築し得なかった自分という存在が、今、ひどくみじめで哀れだと思っているんだ、私は。
だから、どちらかと言えば悔しい。
だけど、それを認めて泣いたら負けだ。
だから……私は絶対に泣かない。泣くもんかっ。
そうやって精一杯、苦しい意地を張り通して、一度も振り返らず笑って母校を後にしたゆきうさぎは、4月に大学の門をくぐりました。
ふと顔をあげると、
目の前に広がるのは、満開の桜――。
はらはらと舞い散る、無音の花びら。
その時、たしかに心の中で、なにか固く凝り固まっていたモノが溶解し、ほどけていくのがわかりました。
「ああ……私、やり直そう、ここから」
その時にはっきり、そう認識した。
思ったというより、自分自身に誓った。
「今までのぶんを全部取り戻そう、この新しい場所で」
そうして誰もいない桜の木の下で、しばらく独り立ち尽くしながら、静かに涙をこぼし続けていました。
――ああ、泣くってこういう感覚だったなぁ。
もうずいぶん泣いてなかったから、感情がひからびて、ひび割れて、こういうみずみずしさを忘れてしまっていたな。
……しかし卒業式でまったく泣かずの鉄面皮が、入学式のあと、裏庭で独りこっそりぼろぼろ泣くというね。
普通なら卒業式で泣いて、入学式は笑顔ですよねー。
まったく。こんなヒネクレたわたくしの心すら、すっと染みいって溶かしてしまう桜の膂力ったらないね。
日本の伝統パワー、恐るべし。
そんなこんなで、ゆきうさぎ、泣けない辛さというものがこの世にはあることも、よく知ってますけれども。
でもねぇ。
やっぱり意地を張らないで、泣ける時には素直に泣いちゃった方が、早く浮上できる気がします!
だから、悲しい時にはばんばん泣いちゃってもオッケー!!←そんなオチ。笑
今日もみなさんの心が、晴れ渡った秋空のように、高く遠く澄んで、明るくありますように♪
それでは、また。
ごきげんよう。
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