【詩エッセイ♪】 夢のたびびと90『暖炉の記憶』・ドイツで過ごした冬の思い出
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こんにちは、ゆきうさぎです。
はじめましてのみなさま、ご訪問ありがとうございます☆
前からご覧になられているみなさま。引き続き「夢たび」お楽しみ下さい♪
子供の頃から夢を見ずにはいられないまま、大人になりました。そんなゆきうさぎが10年近く前に書いていた詩「夢のたびびと」に、このたび新たに「夢たび景色」を書き加えたものが、この詩エッセイです。
【夢たび90】『暖炉の記憶』
音もなく舞う 月の夜は
暖炉にほっこり 火をともそ
お母さんは 毛糸で編み物
重たい本の ページをめくる
火の粉が ぱちんと舞い上がり
足元ぬくぬく お顔はひりり
眠たくなるよな
吸いこまれそな
おとぎ話は 炎のむこう
妹の手を引き 立ち上がる
夢のつづきは
また あした
【夢たび景色】ドイツで過ごした冬の思い出
かつて、ゆきうさぎがドイツで住んでいた家には、本物の暖炉がありました。
日本では贅沢なのでしょうが、白樺の薪をたくさん買ってきて、暖炉中央において、下に新聞紙や木ぎれなど燃えやすいものをおき、マッチを擦って、火を入れる。
白樺の木の皮は適度に油を含んでいるのか、中の部分より燃えやすく、まず先にそこからメリメリ、ペリペリと燃えていくのですが、皮部分が一番、香りが良かったです。
そうして薪に火が付くと、まあ、めっぽう暖かい。
身体の芯まで温まる感覚で、夜もぐっすり眠れました。
ドイツでは基本的にセントラルヒーティングが普及していて、どの部屋にも熱い熱いお湯がめぐっている。
全館暖房なので、正直言って暖炉はまったく必要なかったのですが、完全に家主の趣味というか、、、ゆきうさぎ宅を管理していたドイツ人は州の名士だったので、おうちも有閑階級向けの、贅沢な作りだったんですね。
いわゆる少女漫画に出てくるような洋館とでも申しましょうか。
やっぱり暖炉があるって、風情があるんですよね。
あと薪の香りが、なんだろう、アロマオイルの森林系の香りに近い。
広々~したリビング(走れる、卓球もできる 笑)に暖炉があって、火かき棒でときおり火をかき混ぜたりしながら、読書したりピアノを弾いたり。
外は吹雪でマイナス20度近くても、家の中はぽっかぽかです。
クリスマスの頃は、本物のドイツトウヒの木が植木鉢ででん!と暖炉のやや近くに置かれ(もちろんでっかい木です)、さらに森林アロマ効果が高まるので、ステキ度アップでした。
ドイツの家は石造りなので、クラシックなんかをかけると若干こもった感じで反響して、壁に音が吸われていく。
パチパチ火がはぜる音、抑え気味にかかったクラシック。
つんと苦く、透き通る森の香り。
ほわんと伝わる熱気。窓の外は音もなく舞い散る粉雪。
背中越しに感じる、思い思いにすごしている家族の気配。
とろとろ燃える火の先端を見つめていると、吸いこまれるような、誰かの強い膂力で魔法にかけられたような。
頬が熱くなり、まぶしくて目が痛くなりつつも、なにかがそこにいるような気がして、目がそらせない。
もしかして、私を呼ぶのは炎の精霊(サラマンダー)?
この炎の先には、なにがあるんだろう。
ふと我に返って火を見つめると、火はまだ燃えていて、でもさっきとはちがう箇所がチカチカしていて。
火かき棒で揺すると、火の粉がはぜて、煙とともに、もの悲しく煙突へ昇って行く――。
とにかく、静かでした。
まあね、そういう空間で何年も育てば、ワタクシのようなファンタジー創作大好き人間が一人できあがっても、全然、不思議はないですよね。
今は湘南に住んでいて、この地域は冬でも常夏系ムードなので、暖炉はたぶんもう一生お世話にならないと思いますけれど――。
懐かしいなぁ、暖炉のある暮らし。
ヨーロッパの石畳に乾いた空気、
ライン川やモーゼル川、ブドウ畑。
黒い針葉樹の森、青々とした牧草地、日曜日に鳴り響く教会の鐘の音。
ゆきうさぎ、まさにジブリ映画みたいな風景の中で日々、暮らしていましたので、ハイジが山に帰りたくなる感覚で、ときおり無性に、
「ああ、ドイツに、帰りたいよ~ よ~ よ~」
ってなります! 苦笑
きっと魂の何分の一かは確実に、ドイツに置いてきてるんだろうな、私。
いつかまた、還ることができるといいな。
みなさんの心の中にも、泣きたくなるほど懐かしくて大切な「還りたい場所」が、きっとあるんでしょうね。
それでは、また。
ごきげんよう。
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