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楽しく暮らそう。ゆきうさぎの創作雑記

【詩エッセイ♪】 夢のたびびと70『王さまの木』・指輪物語とノブレス・オブリージュ

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こんにちは、ゆきうさぎです。
はじめましてのみなさま、ご訪問ありがとうございます☆
前からご覧になられているみなさま。引き続き、「夢たび」お楽しみ下さい♪
子供の頃から夢を見ずにはいられないまま、大人になりました。そんなゆきうさぎが10年近く前に書いていた詩「夢のたびびと」に、このたび新たに「夢たび景色」を書き加えたものが、このブログです。 

 

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イラスト提供:ふわふわ。り

 

夢たび70『王さまの木』 

昔々 ある国のおはなし

 

国境沿いの 町はずれに
たいそう器量よしの 娘が住んでいた

 

ある日 娘が家の庭で 涙にくれていると
ここのところ よく通りすがる青年が 声をかけてきた
美しいお人 一体どうしたのですか?

 

娘はうつむき うちあけた
スカートのはしを にぎりしめて

 

恋人が兵隊にとられて 
もう半年も 帰ってこないの
父は戦争で死んだし うちは貧乏だし
どうしたらいいのか わからなくて・・・

 

青年は 意を決してうちあけた

 

そうだったのですか 
実はわたしは あなたを一目見て気に入って
こうして毎日 通っていたんです

 

わたしには 人を動かす力も お金もある
あなたをかならず 幸せにする自信があります

 

どうか その人のことはあきらめて
わたしの妻に なっていただけませんでしょうか?

 

娘は 息をのんで青年を見た
誠実なまなざし 気品ある態度 立派な服装

 

なにより こんな美男子なら 
他の娘が ほうっておかないに違いなかった
このひとは一体 何者なのかしら?

 

けれど考えたあげく 娘はかぶりをふった

 

お申し出はうれしいけれど
貴いお方 私はやはり 恋人を待ちます
王の庭の白い木に 金の花が咲く日まで

 

青年はうちひしがれて 帰路についた
事の次第を聞いたじいやは うなずいた

 

それは残念でした 
しかし たとえあなたと言えども
人の心は 支配できないのです

 

よく考えなさい
その娘さんは 良い暮らしが したかったのではない

 

王さまが 大臣が 偉いから 
贅沢を 約束されているのではないように
ひとにはそれぞれに 期待された役目があります

 

お忘れあるな
役目の重さに応じて 敬われたり 
暮らしを保証されておることを

 

誰でもおのれの立ち位置 役目をまっとうする
義務があるのです・・・

 

それから 一年がたった

 

隣国との戦争は 新王の戴冠とともに終わり
娘は 恋人とめでたく結婚した

 

ふたりの結婚式の朝  
名無しの相手から 金の花枝が届いた

 

ああ やはりあのお方は ただ者ではなかったのだ
青年の正体がわかった花嫁は
王城にむかって そっと頭を垂れた

 

平和の象徴である 王庭の白い木に
花が咲いたと 風の噂がたったのは
それからしばらく 後のことだった
 

【夢たび景色】指輪物語ノブレス・オブリージュ

この夢たびの「王の木」はかの有名なJ.R.R.トールキン作「指輪物語」に出てくる王の木がイメージです。2001年から公開されたピーター・ジャクソン監督の映画「ロード・オブ・ザ・リング」の原作ですね。
ロード・オブ・ザ・リングトールキン原作にならって三部作になっていて、

で構成されていますが、王の木は3部で登場したんじゃなかったかしら。

昔からファンタジーと言えばまず「指輪物語」か「ナルニア物語」と言われているくらい、指輪は世界中にファンが多くて、日本のファンタジー作家もこの2作は読んで影響を受けたと言っている人が多いです。

トールキンは作家というよりは言語学者なので、名作にしてはちょっと読みづらいんです。原作は最初のうち、世界の説明から入るんですよね。本業の作家だったら、説明はあらすじを追いながら、その中に含ませて展開していくんですが、トールキン先生、ごろっとネタ帳を広げちゃってるの。
どうもトールキン先生は

指輪物語の世界 > 指輪物語のストーリー

だったんじゃないかなと思います。自分が生み出した、ものすごく細部まで緻密に構成された異世界まるごとをなんとか世の中の人に伝えたかった。それが一番だった。あの長大な物語は、その世界で起きた出来事のうちの一節にすぎなかったんじゃないか。

だから読者の中には、最初の1章を読んで「なんじゃこの難解でつまらない話は。これが名作なの?」と思って投げちゃう人も多いらしい。なんとー。もったいない。

本当は指輪は、2章以降が本番で、面白いんですよ!!

物語としては2章以降から始まるので、しょっぱなは読まなくていいよって公言してる人もいるくらいです。

あと「旅の仲間」は迷走してる部分もあるんですよね。世界の説としちゃおもしろいエピソードなんですけど、指輪本編に関係ない登場人物と小話も出ちゃってて。ま、そこもトールキン先生の本業が作家じゃないのが理由なんですけど、普通に作家の書いた話を読み慣れている読者からすると、

「なんじゃこれは?」「前フリ、異様に長くね?」
ってなってしまうという……汗

ピーター・ジャクソン監督はとにかく指輪物語を愛しているので、そういう本編に関係ない、むしろワクワクな緊張感をそぐような、ピーターラビット的エピソードは削って映画を作ってくれました。ふつう、原作のエピソードをはぶくとみんなやいやい文句言いますけれど、ロード・オブ・ザ・リングではむしろ「よくそこを抜かして先へ進めた!」って評価されてたと思います。

うん、ゆきうさぎもその話はいらないと思ってた。トールキン先生が必要で、みんなに読ませたいって思われてるから、受け入れてたけども 笑

 

ピーター・ジャクソン監督の映画はすごくよくできているのですが、なにせ怖いので、子供に見せられない。そうすると子供はトールキン先生の原作から入るしかない……となると、たぶんあの最初付近でつまづくんだよな。
うちの子供にどうやって読ませようか、伝えようか、ゆきうさぎ、色々考え中です。もうライオンと魔女からのナルニアは読ませたんですけどね、娘には。
ナルニアは映画もディズニーが作っていて、あの映画が子供むけにも秀作なので、まだ原作がむずかしい息子もライオンと魔女は知ってます。じつは映画派生の絵本も出てるんですよ!指輪も作ってくれればいいのになー、絵本。

あ、つい熱くなってあらすじを全然、書いてませんでしたね。
まったく指輪物語を知らない人のために、かいつまんでご説明を。

物語の舞台はいにしえのイングランド風。もともとトールキン言語学者で、自分たちの祖先のルーツをたどる確たる神話がないのが嫌で、そこを補填する話を書きたかったそうです。
長命な妖精族、ドワーフ、ゴブリン、魔法使い、闇の覇王、人間、そしてこびとじゃないんですけどホビットっていう種族もいて、指輪物語ではホビット族の青年フロドが主人公。
まあざっくり言うと、ロードス島戦記も、ドラゴンクエストも、七つの大罪も、みんな指輪物語あってできている感じですかね。←言い切る!


この世界ではその昔、闇の覇王が一つの指輪を作って全世界を闇で覆い尽くし、支配しようと目論んだのですが、妖精族や魔法使いや人間の連合軍が、やっとの思いでその野望を阻止し、一つの指輪を覇王から取り上げた。けれども一つの指輪は覇王の手元に戻ろうと、所持者を次々に洗脳し、毒された所持者は我欲の虜になって、かならず悲惨な末路をたどる結果に――。

で、フロドがたのしくホビット庄で暮らしている時分にはもう、指輪は長らくどっかへいっちゃってて不明になってるんですけど、じつはおじさんのビルボが以前した冒険でこの指輪を山底の洞窟にすんでる奇っ怪な魔物から、手に入れちゃってたんですねー。


闇の覇王が指輪を取り戻すため、手先の幽鬼の将軍(キングダムの将軍ばりに最強系)をくり出したから、さあ大変。フロドたちは追跡を逃れて妖精の隠れ里へ逃げこむため、危険を冒して旅に出る。これが旅の仲間の前半部分。


で、すんでのところで幽鬼将軍に捕まりそうになりながら、隠れ里へ逃げこんで、指輪を妖精に託そうとするんですが、みんな良識のある人たちは指輪を持ったら誘惑されて毒されて洗脳されるって知ってるから、誰も受け取ってくれないの。
「それはフロド、おまえが持っているしかない」
「つーか、むしろ生命力はあるけど戦闘力はない、おまえが持ってろ」
って話になっちゃう。
で、さらにこの危険な指輪どーすんだよ、って話になって、
「利用することもできないんだから、壊すか捨てるしかないだろ」
「でも、どこに捨てるんだよ」(ここらへん、核廃棄物扱いっぽい)
「そうだ、モルドール(闇の覇王の地)の火山に放りこめば?あそこならさすがに、溶けてなくなるんじゃん?」
って話になって。
フロド、おまえ、行って捨てて来てくれよ。
ってなるんですよ……。Oh。

で、この「指輪を捨ててくる旅」の護衛をするので、人間と妖精とドワーフの助っ人がホビットたちに、つくのですが、まあね、見事に人間が一番最初に指輪に毒されるのね。あー、ホント弱いよね、人間根性って。苦笑
で、指輪を奪おうとするところでゴブリン軍団に襲撃されて、最後に改心してホビットを助けて人間は死んじゃうんだけど、ここで旅の仲間は二つに分裂して、フロドと侍従のサムは二人だけで滅びの山に向かうし、他の人たちは光の軍団VS闇の軍団の一大決戦へと進んで行くのです。

……あれ、なんかフェローシップ(旅の仲間)だけで、私もう相当書いてる 汗
とにかく、この後の「二つの塔」も「王の帰還」もこのフェローシップ以上に怒濤の展開なので、もしまだ指輪物語なんも知らないよってな方がいたら、ぜひぜひ、お楽しみ下さいませ。

この後、ついにフロドも指輪に毒されて苦悩していくし、覇王の復権はどんどん進んで、闇が光を飲みこもうと押しよせてくるのも不気味だし、人間族の醜さ、強さ、絆の深さも見どころ。陰謀や策略もあるのでそこは推理小説だし、後半になればほぼほぼ戦闘しているから、アクション大好き系の人も十分満足できます。

だけど、文学作品なのでね。
アクションすごくあるのに、精神面も深いんですよね。
最後のシーンなんて何回読んでも、見ても、泣けますからね。あ、ゆきうさぎは指輪物語好きすぎて本もあるしDVDも家にあるし、全作、映画館でも見てて(何回も)、パンフも全部買いました 笑
ゆきうさぎ、いいと思ったものは、何度でも何度でもくりかえす人 笑


本の最初がまた、いい。

「三つの指輪は、空の下なるエルフの王に、
七つの指輪は、岩の館のドワーフの君に、
九つは、死すべき運命(さだめ)の人の子に、
一つは、暗き御座(みくら)の冥王のため、
影横たわるモルドールの国に。
一つの指輪は、すべてを統べ、
一つの指輪は、すべてを見つけ、
一つの指輪は、すべてを捕らえて、
くらやみのなかにつなぎとめる。
影横たわるモルドールの国に。」
(新版 指輪物語I 旅の仲間 評論社より引用)

もうこれだけでドキドキしますー。

で。
『王さまの木』ですが、これは指輪物語の木はモチーフですが、王様(アラゴルン)とはまったく関係なくてですね。
ちょっと「ノブレス・オブリージュ」を言いたかったというのもありまして。
ノブレス・オブリージュというのは、「高貴であること=義務がある」というヨーロッパ中世騎士道の考え方でして。
ようは財力、権力、社会的地位を持ちたいなら、まずはそれを保持するにふさわしい人格でいる義務があるんですよ、っていうマインドです。
この詩、というか今日のは詩というよりむしろ小話になってますけど、これを創作したのは10年前ですが、10年前よりむしろ今の世界情勢のほうが、より権力者の方々にノブレス・オブリージュ精神はどうしたんですか、って言いたくなるような事柄が続出しているような。

TVごしにでも、見てるとある程度、感じ取れますよね、権力者の思惑って。
ノブレス・オブリージュ・マインドをしっかり骨の髄まで理解し、そうあろうと日々真面目に努力されている人と、全然~、権力の座に甘んじて、ただ思い通りにおもしろおかしくやろうとしている人と。
ゆきうさぎはただの平民のおばちゃんだけど、ただのおばちゃん舐めるなよ。おばちゃんだって、ちゃんと見て全部わかってんだぞ、ってちょっと苦言を呈したくなる時が、まま、あるなぁ 苦笑

しかし『王さまの木』は、これって、今見たら短編小説のネタにもなりますね。これで30枚くらいなら書けそう。みなさまご興味あるか、深イイかどうかもわかんないけど、普通に全然書けちゃうな。
この夢たび70だと、結婚相手の若者の性格がわかんないけど、若者のほうをもっと膨らませて魅力的にして三角関係にしたら100枚くらいの中編にもできそうだし。
あらまあ、夏休み終わって余裕ができたら、今度書いてみようかしら~~。笑

どうやら来週から、梅雨明けしそうな雰囲気ですよね。
今年は40度超えの日が何日も続くとかじゃなくて、そこはよかったですけど、洗濯物が乾かない!
なので晴れの日、どれだけ暑いのか怖くもありつつ、ありがたいはありがたいです。
どうぞみなさまも、お体お大切に、夏を楽しんで下さいね♪


それではまた。
ごきげんよう

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