【詩エッセイ♪】 夢のたびびと94『白水仙』・この世界と、自分を巡る
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こんにちは、ゆきうさぎです。
はじめましてのみなさま、ご訪問ありがとうございます☆
前からご覧になられているみなさま。引き続き「夢たび」お楽しみ下さい♪
子供の頃から夢を見ずにはいられないまま、大人になりました。そんなゆきうさぎが10年近く前に書いていた詩「夢のたびびと」に、このたび新たに「夢たび景色」を書き加えたものが、この詩エッセイです。
【夢たび94】『白水仙』
明るい日ざしが微笑む午後に
開いた窓を通りぬけて
今日から君は 別な道をゆく
出会い 連れ添い 別れ別れて
【夢たび景色】この世界と、自分を巡る
水仙の花咲く時期。湘南地域ではだいたい3月です。
まだ冬を抜けたくらいの時期に、我が家ではしだれ梅が咲くのと競い合うようにして、水仙も開花し、寒々とした庭にもうすぐ春が来るんだよ、と教えてくれます。
最近、東京近郊では庭がないか、あっても極小スペースの植栽程度で、庭と呼べる庭のある家は少なくなりつつあります。
共稼ぎ世帯が増えた昨今、常に家にいる人がいない家での庭の管理は、たしかに負担でしかないかもしれません。
「設計してから、理想の庭を一区切り、造り上げるまでには3年かかる。」
とは私が愛読しているイギリス人ガーデナー、ラッセルさんの言。
イギリス人ガーデナーに学ぶ小さな庭のプラン―ラッセルさんのガーデンデザイン講座 (Plus 1 gardening)
- 出版社/メーカー: 主婦の友社
- 発売日: 2000/11
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この本ねー、ホントに、すごくすごくいいのですが。
そういえば正直、一点だけ申し上げておかねばならないことがありまして、それは――。
昨今の極小庭を「小さな庭」とするならば、全然「小さな庭」じゃない広さの区画を「小さな庭」呼ばわりしてるところ。。。汗
まあしかし大は小を兼ねるので、大がメンテナンスできれば、小もおのずと可能になるから、結果オーライなのかな。
そして、3年ですよ。3年。
この成果主義社会で、なんでもスピード感を持ってやらないといけない時代に、3年かけて一つのことをやり遂げる人って、どれくらいいるんだろうか。とか思う。
けれども、私はびびっと直感を信じちゃうタイプなので、
「あー、ラッセルさんはウソは言ってないな。じゃ3年、やってみましょ」
と、とりあえず3年、まったくど素人の状態から、庭造りに精を出しました。
かつてイギリスでホームスティをした時に、イギリス人たちがガーデニングとお茶をこよなく楽しんでいるのを見ていたので、気持ちとしては「イギリス人風にガーデニングを楽しもう!」でした。
以来、様々なガーデニング本を読み漁り、本屋で雑誌を立ち読みしたり、図書館で調べたり。NHK「趣味の園芸」も1年間は毎週かかさず視聴しました。
いきつけのおしゃれなお花やさんを作り、店員さんとも顔なじみになり、他の家の庭も、通りすがりによく見るようになりました。
植物の葉っぱの状態、土の温度、湿り具合。
春夏秋冬、季節の変化とそれに合わせた対処の方法。
いつごろどんな虫が出て、どういう行動をとるか。
そうやって、土と水と風を体感しながら、地道に観察眼と経験値を養ってみると――。
庭は小宇宙でした。
昨日の夢たび93で、「生命はぐるぐる回っている」話を書きましたが、庭の中でも「生命はぐるぐる回っていた」。
雨が降り、木々や花を濡らし、卵から虫が孵り、短い一生をみずみずしく生きる。
その虫を餌に小鳥やトカゲやカエルや蜂も生きている。
秋に落ち葉を掃いていると、そうした中型の生き物が命を終えて、それを土が分解した形跡も発見したり――。
我が家の子供たちは、私が毎日のように庭の手入れをしていた時期に、ちょうど幼児だったものですから、つねに一緒に土をいじり、命を発見し、植物の芽吹きや花開く不思議を見て育った。
庭に穴を掘り、土山を作り、ブランコで遊び(設置しました)、春はお花見しがてら3時のお茶を楽しみ、夏には家庭用プールを木陰で楽しんだり。
野菜を育てた年は収穫を楽しんだりもしたし、秋には落ち葉を拾って画用紙に貼り付け、アート作品にしたりしたのもいい思い出です。
小学生になった今は、以前ほど庭で遊ぶ時間もなくなりましたが、今でも庭は大好きで、時折、外に出ては小一時間くらい、なんやかやと自然と対話しているようです。
そう、ガーデナーさんたちに共通する点として、彼らは一様にみんな「明るく、前向き」です。
自然を相手にしている人々は、世界が自分の思い通りにいかないことも、自分がちっぽけな存在でしかないことも知っているし、命が循環している不思議も常に体感している。
およそ小説や詩を書いたりなどという行為は、もっとも内向きな思考による生産であるために、どうかすると被害妄想めいた性癖を構築しやすい。
芥川しかり、太宰しかり。
ですが反転して一歩、自然と対峙すれば、そちらには一点して外向き思考の世界が広がっている。
初めてジブリ映画「崖の上のポニョ」を見た時、
ああ、宮崎駿さんは相当、現代人の内向き思考に警鐘を鳴らしているなぁと思ったのですが、たしかに昭和から今まで、日本人は利便性を追い続けたあげくのはて、外向きから内向きへとひたすら舵を一方向へ取り続けてきてしまった感があります。
内省するのは人として悪いことじゃない。
けれども、あまりに自分の殻に閉じこもりすぎると、繊細なガラスハートどころか、過敏で攻撃的、周囲から敬遠されるくらい自己愛だけが強い人間になってしまう。
人は社会的動物なので、普通は周囲と交流しながら生活しています。
とはいえ一個の動物である以上、つきつめれば最終的には一人なんですよね。
自分を生かすも殺すも自分次第。自分以外には誰も自分を救えない。
そんな世界で強く健やかな心を養うには、つねに内向きと外向き思考を循環し続けるしかないんじゃないか。
自分の心もまた、この世界と自己の間を「ぐるぐる回っている」。
私は庭の手入れをしながら常々、そんなふうに思っています。
それでは、また。
ごきげんよう。
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